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図-4カナダ海洋科学研究所(IOS)の組織図

深海研究部・満澤研究員が在外研究員として本研究所に滞在しており、今後の両機関間の協力の可能性を検討することが必要であるものと考えられる。
(2)訪問概要
訪問当日、本研究所のDavis所長、Garette海洋科学・生産性研究部長が不在のため、Robert Wilson海洋環境・生育科学部長にお会いし、意見の交換及び以下の研究活動の見学をを行った。
・船舶整備場において、Keith Shepherd氏から、メインテナンス作業中の5千m級のテザー方式のROV "ROPOS"の説明があった。これは製作費が約4億円のランチャー・ビークル方式のROVであり、船上装置が約2億円とのことであった。また、ランチャーへの格納作業もラフであり、また、このROVは多くの船舶に搭載可能であり、極めて研究第一の姿勢で運用が行われていることに感銘を受けた。
・また、Brian Bomhold博士により、今夏に計画されているIOSの地先海域におけるジョイデスレゾリューション号を用いた海底堆積層の掘削による古環境変動の研究、
・Ward Cartier氏により、音響観測装置を用いた潮流観測技術、
・ADCPを用いた海表面波高分布の観測技術及びキャビテーションを利用した海中への気泡の溶け込みの観測技術の紹介、
・Howard Freeland博士による漂流ブイを用いた海流観測及びカナダのWOCE観測についての紹介があった。

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写真-5カナダ海洋科学研究所(IOS)全景(同研究所のパンフレットより)

カナダにおいては、Coast Guardや水路調査など海洋に関わる業務が漁業海洋省に一元化され、重複を廃して国民ヘザービスを提供するという政府の基本的方針に基づき、海洋の研究は効率的に推進されている印象を受けた。また、このところ国の財政事情が極めて厳しく、本研究所の予算についてもここ数年にわたってかなり削減されてきている。そのため、経費はできる限り節約せねばならず、いきおい船舶やROVの運用などについて可能な限り削減しているようである。我が国においても、財政事情は逼迫してきており、今後、このような状況に遭遇することも考慮し、常日頃の節約の気持ちは持ちつづけるべきであることを強く感じられた。

 

 

 

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